トップページ > 小説トップ > 記事閲覧
ポケモン流転奇譚
日時: 2016/02/07 16:34
名前: 11話up!/cielo

−−世間はその若者のことを、『伝説の少年』と呼んだ−−

生まれは日本、育ちも日本。もう一度生まれたところはマサラタウン。
目が覚めたら"レッド"に生まれていたある女子大生が、主人公を努めようと『レッド』になっていくお話。

ttp://nanos.jp/atrivialmatter/page/5/
お正月絵!

■最新話■ >>19
◆登場人物◆ >>14
◆目次◆ >>13

お久しぶりです、cieloです。多くの方ははじめまして。
こちらの掲示板で更新を長らく放置していたポケモン冒険記を放ったらかし、新作を書き出すという暴挙に出ました。
此度の話もバリバリの冒険談になると思います。
亀更新にならぬよう精進いたしますので、拙いものではありますが楽しんで頂ければ幸いです。
02/07 ニビ編と言ってもしばらくニビには辿り着かない。
ニックネーム:cielo ♀ Lv.19
もちもの:がくしゅうそうち
せいかく:のんき な せいかく。あそぶ のが すき。
とくせい:うさぎとかめ(たまに すばやさ が ガクッとさがる。こうしんそくど にも えいきょう が でる)
カンサイちほう で Lv.11 のときに であった。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ポケモン と とも に たび に でます か ?

はい←
いいえ

…男の子が四人、線路を歩いてる。
私も、もう行かなきゃ。
メンテ
Page: [1] [2] [3]

Re: ポケモン流転奇譚 ( No.13 )
日時: 2016/02/07 16:34
名前: cielo

目次.
○マサラ編 =スタンド・バイ・ミー=
平穏な町で、平穏でなかったのは子どもの皮を被った子ども。
"ポケモン"と出会いを果たして、"少年"は旅に出る。
>>1-2>>5-9>>12>>15-16

○ニビ編 =クローズ・エンカウンターズ・オブ・ザ・サードカインド=
始まった冒険、出会う仲間たち。
未知との遭遇で、少年は巨悪の片鱗に見える。
>>17-

○ハナダ編
○クチバ編
○タマムシ編
○シオン編
○セキチク編
○ヤマブキ編
○グレン編
○七島編
○トキワ編
○チャンピオンロード編
○セキエイ編
メンテ
Re: ポケモン流転奇譚 ( No.14 )
日時: 2015/09/22 14:49
名前: cielo

登場人物.

*マサラ編*
○レッド/** **(10)
マサラタウン出身。女。少年のような振る舞いをする。
仲間思いだが、流されやすくやや日和見主義のビビリ。周りのテンションに合わせるけど、周りが酔ってたら自分の酔いは覚めるタイプ。
ツッコミにまわることが多い。
中身はゲームの中の主人公に生まれ、物語を正常に進めるために生きようと決意した女子大生。

○グリーン(10)
マサラタウン出身。男。レッドはよき自分の友人の"少年"。
キザで熱い。たまに虚勢もはっちゃう。だって男の子だもん。初恋がレッドで、『男』と知ったときはちょっと泣いた。
ポケモンを貰い冒険に出る12歳を心待ちにしている。中の人などいない。

○お母さん
マサラタウン出身。レッドのお母さん。
娘が非常に男勝りであり、なおかつ年の割には随分大人びていることを本人の自由と思う反面、少しだけ心配。
ポケモンを持つこと、グリーンというよきライバルになるだろう友人がいることはきっといいことになると予感している。
怒るとギャラドスより怖いという噂もあるが、真実はレッドのみ知る。

○ナナさん
マサラタウン出身。本名はナナミ。グリーンのお姉さん。グリーンと彼女の両親は遠方で働いているため、実質彼女がグリーンの親代わりである。
料理上手で、怒ると超怖い。悪いことしたら分け隔てなく叱るので、マサラの子どもたちにとってはラスボス。

○オーキド博士
マサラタウン出身。グリーンの祖父。昔はすごかったらしい。
レッドとグリーンが毎回無茶するのをそっと見守りつつ、専門知識を徐々に植え付けるのが楽しい。
えらい発明家であり学者でもあるが、大ポカをたまにやらかす。イーブイは元は博士のポケモン。

○マサラのご近所さん
レッドは男の子だと思われてると感じてるが、ちゃんと女の子だと分かってる。
賢いんだけど町を代表するやんちゃ小僧二人組を優しく見守っているが、時々とんでもない傷こしらえてくるから気が気でない。
"あの二人"とマサラの人たちに言えば、それすなわちレッドとグリーンのことである。
メンテ
Re: ポケモン流転奇譚 ( No.15 )
日時: 2015/09/24 19:41
名前: cielo

8.

「あの子たちは、大丈夫でしょうか」
「誰もが、どんな規模であろうとも、どこであろうとも、旅をして大人になっていく。大丈夫じゃ、彼らにはポケモンがいてくれる」
少年と少女が去ってから、閉じた扉の向こうに消えた背中を追いかけるように、研究員はしみじみと言った。
答えたオーキド博士も、一つ残ったボールを撫でながら扉を…扉の向こうの、旅立つ二人を見送った。



「俺はお前にするぜ!」
「ガメッ」
バシュッという音と共に飛び出たのは、水色の体に大きな甲羅を持つカメのようなポケモン。威勢良く胸を張る姿は小さいながらも勇ましい。
…ゼニガメ、か。ちょっと意外かもな。グリーンは攻撃重視な節があるから、ヒトカゲあたりにするんじゃないかと思ってたんだけど。ひょっとしてニビのジムが岩タイプなことを踏まえてか?
ぐるぐると取り留めのないことに意識を巡らせていたので、ぼーっとしてると思われたのか不満気にグリーンに見られたけど。いや、気にしないで。
「ふーむ、グリーンはゼニガメか?水タイプじゃよ」
オーキド博士が顎を撫でさすりながら告げる。博士、そいつ聞いてませんよ。イーブイに次ぐポケモンに大興奮してます。それとグリーン、お前足元見たほうがいいぞ、イーブイが般若の形相してっから。
「後になってしまってすまんなあ、レッド。どちらにするか決めたか?」
「…そうですね、僕は」
眼前にあるモンスターボールは二つ。実はグリーンが選んだときから決まってたのだ。タイプが、彼のポケモンに"劣るように"選ぼうと。
だってそういうものだろう? "主人公"の選んだタイプに有利なものを、"ライバルキャラ"は選ぶ。
だから、私の選択肢は一つだけ。
「よろしく、ヒトカゲ」
「カーゲー!」
尻尾に燃え盛る炎が見れば見るほど不思議なこのポケモン。いいよね、焚き火するときはこと欠かないし、進化したら飛べるようにもなる。

「レッド! 俺は先に行くぜ! じいさんありがとな!」
えっ早くね?
瞬く間に走り出したグリーンは、一瞬でかけぬけて見えなくなってしまった。そんな急がなくても…
「はあ!? ちょ、おま、待てって言っ……あーあーもう見えないし」
「ビィカ…」
「カゲカゲー」
やれやれと溜息をつくピカチュウと、何処か棒読みのヒトカゲ。ピカチュウはこの二年でより負けず嫌いとハードボイルドに磨きがかかった気がするにしても、なんでヒトカゲお前そんな塩対応なの?
「それじゃあ、僕たちも行こうか」
「ピカ!」
「カゲッ!」
ピカチュウとヒトカゲにボールに戻ってもらい、博士たちにお辞儀をして、僕も走り出す。とりあえず私は家に帰って母さんに報告するけども、グリーンはもう既に出発してる気がする。幼馴染の勘である。
ベルトに下げたモンスターボール同士がカチカチ鳴る音に、年甲斐もなく心が高鳴った。



「いやあ最後まで慌ただしかったなあ…レッド君はともかく、いや博士がいるのに言うのもアレですけど、グリーン君は大丈夫でしょうか」
「なんじゃ、うちの孫はよう出来たクソガキじゃぞ? …まあグリーンはいいが、わしはレッドが心配じゃのう」
溜息をついた博士に、研究員はええっと声を上げた。
「レッド君、心配ありますかね? 彼女しっかりしてますよ?」
「だからじゃよ」
レッドは昔からしっかりしていた。しっかりしすぎていた。大人には分かるものは分かる。
グリーンの無茶を止めながらも一緒にやんちゃをしていて、グリーンの面倒を見ていたようなレッドだが、その実面倒を見られていたのこそがレッドだろう。

「己がしたいこと、大切なもの、レッドは探すものがたくさんあるはずじゃよ」

困ったときに大人のように笑ってはぐらかすレッドが、時折ぼうっとどこかを見つめていて陽炎のように希薄だったレッドが、繋ぎとめられる絆、人との関わり、命の尊さ。そういうものを、見つけていければよいと思う。
オーキドはモンスターボールの開閉スイッチを押して、一匹残ったポケモンを外に出してやった。
頭を掻いてやれば、気持ち良さげに目を細めるこの子は、まったりとしているがしっかり者で、旅立ちのパートナーにはもってこいの性格ではあったのだが。まあ、彼らの好みということか。レッドがヒトカゲを選んだのは若干驚きであったが。
「なあ、フシギダネよ。お主のほうがゼニガメには強いのになあ」
「ダァネー、ダネダネ!」
「そうか、お前もそう思うか」
「ダーネ」
頷いたフシギダネは慌ただしかった人間二人を思い出し、彼らと共に去って行った友人二匹の旅路を思って蔓をくるくると回した。

−−−−−−−−−−
レポート を かきます か ?
はい←
いいえ
メンテ
Re: ポケモン流転奇譚 ( No.16 )
日時: 2015/09/24 23:21
名前: cielo

9.

「…行くのね」
「うん」
ただいま、と言って家の玄関を開けたとき、母さんがはっとして私を見て、一瞬間を挟んで、おかえりなさいレッド、と笑った。
椅子に座ってテレビを見ていた母さんは、私のベルトにモンスターボールが一つ増えたのを見て、机の上で組んでいた手に力を込めていた。
12年間私が在った場所。きっと、"レッド"のふるさと。
「…そうね。男の子はいつか旅に出るものなのよ。うん…テレビの話よ!」
いつもより明るい母さんの声が、テレビをBGMにして恐ろしいほど高く響いた。
この家庭に、父親はいない。私が物心つく前に(といっても私はばっちり覚えている。ただ、そういうことにしたいだけ)、父親は旅に出る、とそう言い残してこの家を後にした。元から放浪癖のある人で、私ことレッドが産まれる前からふらりと旅に出ていたらしい。母さんも彼のその癖は重々承知だったそうだ。一所に止められるような人ではなかったそうで、マサラの男はそういうのが多い、と近所のお婆さんが言っていた。
顔は流石にぼやけているが(私の、****の両親の、友人の顔は)、私の真っ黒い三白眼と、口の大きさは父親譲りなのだなということは分かる(私の、****の顔は)(両親のどちらに似ていたのかを覚えているか)

私がここにいなかったのなら、本当のレッドも、彼と同じく冒険に胸を躍らせ、旅に出ていたのだろうか。

「…母さん、僕「レッド」…なに」
「…無理しちゃダメよ」
「…うん」
「ポケモンを大事にして」
「うん」
「野宿は極力避けて。ポケモンセンターに行くのよ」
「うん」
「グリーン君と仲良くね」
「う、うーん?」
「こら、そこで詰まらないの」
ふふふ、と笑う母さんの手が震えているのを、私は見ない振りをする。
この家で一人待つこの女(ひと)を、私は残して旅に出る。すぐ帰ってくるよとは言えなかった。
「最近物騒みたいだし。くれぐれも、気を付けて」
「…うん」
その物騒の種を排除するために、私は"レッド"として行くのだけども。
それでも今は、この穏やかな昼下がりの出立には、ただ頷くのが似合ってると思うから。
「…だいじょうぶ。大丈夫だよ、心配しないで」
そっと微笑めば、母さんの笑みが深くなった。

長く続く線路、青空の下。
旅の果てに、私はどうなってしまうのか、まだ分からない。ただ、ここがポケットモンスターの世界であり、私がマサラタウンのレッドとしてここに在るのなら、なぞらなければならない。ポケットモンスターのあらすじを、原作通りに。"レッド"の役割を果たさなければいけない。それだけを考えていたい。…それしか、考えたくない。
「ふぅっ…」
大きく深く深呼吸。キャップを目深に被って、上着のファスナーを上げる。一発腹筋に喝を入れて、リュックサックに入れたものを頭の中でおさらいして。

「それじゃあ、いってきます」

「いってらっしゃい」

母さんの目元が午後の光にきらついて、つきりと胸に熱いものが走った。
いってきます。

男の子が四人、線路を歩いてる

私も、もう行かなきゃ

−−−−−−−−−−
レポート を かきます か ?
はい←
いいえ
メンテ
Re: ポケモン流転奇譚 ( No.17 )
日時: 2015/10/26 22:25
名前: cielo

9.5

「待てよレッド! せっかくじいさんにポケモン貰ったんだぜ? トレーナーとトレーナーの目があったってんなら、やること一つじゃねえの? …勝負しようぜ、ベイビー!」

「悪いことは言わんからベイビーはやめとけよハニー」



「さっき家出たじゃん! 配達頼んでよ博士!!」



「きたな、俺はニビポケモンジムリーダーのタケシ! 俺の固い意志は俺のポケモンにも表れる! 堅くて我慢強い! そう、使うのは岩タイプばかりだ! ふはは! 負けると分かっていて戦うか! ポケモントレーナーの性だな! いいだろう、かかってこい!」
(何かテンションおかしくないかあのお兄ちゃん)



「はじめまして、僕はマサラタウンのレッド。君を助けたいんだ」
「僕のポケモンになってくれないか」



「ねえ」
「あん?」
「…何やってんの、おにーさん」
「あ? なんだお前。見りゃあ分かんだろー。発掘だよ発掘。…俺らの邪魔するってんなら容赦しねえぜ」
「山のポケモンさんたちが迷惑してる。地盤も緩んでるところがある。もうちょっと考えてやってくれないかな」
「はっ、ハハハ、それが何だってんだウザってえな。いいか? 俺たちは金儲けのためにやってんのー。これは俺らの権利なの。お前山のポケモンかよ? ちげえだろぉ? 口出ししてんじゃねえぞクソがよぉ」
「ふうん。迷惑なら僕もしてるんだけどな。……例えば、お兄さんが発掘ばっかしてるもんで僕がポケモン勝負でお兄さんをコテンパンに潰せない、とか、ね」
ボールの開閉スイッチを一度押し、大きくなるボールを握った。男のからかい嘲るようだった雰囲気を宿していた目がすっと細められ、への字だった口元が片方つり上がる。
「心配性なお兄さんが忠告してやんよ。調子乗ってっとぶち殺すぞ、 クソガキ」

ニビ編=クローズ・エンカウンターズ・オブ・ザ・サードカインド=
始まった冒険、出会う仲間たち、未知との遭遇で少年は巨悪の片鱗に見える

−−−−−−−−−−
レポート を かきます か ?
はい
いいえ←
メンテ
Re: ポケモン流転奇譚 ( No.18 )
日時: 2015/12/28 04:28
名前: cielo

10.

「これ以上進むのは初めてだな、ピカチュウ」
「ピィカピカ」
「カゲー?」
先を進んでいたピカチュウパイセンが振り向かずに頷き、私の隣をてちてちと歩いていたヒトカゲが首を傾げた。
相変わらずハードボイルドだなパイセン。あと元気だな。そしてヒトカゲは癒しだ。
ピカチュウと出会った1番道路。そしてポッポたちにリベンジを挑んだ1番道路。
こうして草むらを己の足でかき分け、出てくる野生ポケモンをピカチュウとヒトカゲに分担してもらい、倒したり躱したり逃げたりぽけったーりもんすたーり。
最大の懸念はポッポ集団と鉢合わせないかなのだけれど、今のところは彼らとは会っていない。
歩いて、歩いて、たまに倒して、ちょっとずつ経験を積んで、
「あ」
「ピカ」
「カゲ!」
朝から歩き続けて、もう太陽は中天へと差し掛かったころだった。
唐突に草むらと木々が続いていた景色がぷつりと途切れ、その向こうに春の陽光を反射する屋根が見えた。
「町だーー!!」
「ピカーー!」
「カゲッカゲッ」
レッド12歳。初めての町です! やったね!!



格段に減った木々の代わりに増えた人工物、整備された道たち。
木々と家々の間にいる自分たちが佇む側には、町々にある町の名を書いた立て看板がある。
「トキワはみどり、永遠のいろ。永遠なるみどりのまち…」
見渡してみれば、家々の屋根は緑で統一されている。ここは緑がテーマカラーらしい。マサラタウン? 揃えるほど家ないから。察して。
緑の屋根の中、町の中心地に一際鮮やかな赤い屋根。
「あれがポケモンセンターかあ。初めて見た。行ってみるか」
足元の二匹が首を傾げる。それに少し笑って、紅白の建物に足を向けた。
ポケモンセンター。全国各地にある、ポケモンとそのトレーナーのための施設だ。
ポケモンの回復や格安のトレーナーの宿泊施設なんかがあって、寄付金やジム、リーグ施設の利益なんかの一部で運営しているらしい。
いや入ったことないんだけど。マサラにないから。全国区じゃなかったのかな? 謎だな?
「わ」
ガラス戸をぎい、と開けると、開けた空間と多くの机や椅子に圧倒された。
二階フロアは壁沿いに部屋が集まっている吹き抜け構造。電気が少ないけれど、その代わり陽光が燦々と降り注いでいて明るい広間だ。
「はじめまして、新人トレーナーさん」
後方かつ頭上から降ってきた声にそちらを向くと、背の高い青年がこちらを見て笑っていた。
「ポケモンセンターに来るのは初めてか?」
「ええ…そうですが…何で分かっ…あっ、すみません、入り口に突っ立ってて」
やっべ、顔が赤くなってそう。そりゃあポケモンセンターきて入り口でぼけっと内装眺めてるやついたらひよっこだってすぐ分かるわな…
青年は赤い目を細めて構わないよ、と笑った。親切な人で助かった。
手持ちポケモンはそれだけ? と聞かれて、首を縦に振るとついてこいよ、と先導される。
中央で存在感を放つ機械と、桃色の髪を特徴的に束ねた女性がにこっと笑いかけてきた。おお、この人は知ってるぞ、ジョーイさんだ…!!
「ほら、ポケモンボールに戻して」
「アッハイ」
「で、ジョーイさんに回復を頼む」
「アッハイ」
言われるがままにピカチュウとヒトカゲをボールに戻して(パイセンには嫌そうな顔されたけど)(そうしなきゃ回復できないんだってば)
微笑ましそうにしていたジョーイさんが回復ですね、とボールを受け取ってくれた。
後ろにある大きな機械にセットされて、ボールと機械が点滅して光りはじめる。これどういう原理で動いてるんだろう。元がただの女子大生だから、理工学への造詣はさっぱりだ。
「まずどんな街へ行っても、最初にポケモンセンターで回復をしたほうがいい。それとできればその日の宿も」
「いつ何時どんな目に遭うか分からないからですか」
「そうだ。万全を期せるならそうしたほうがいい。人もポケモンも」
俺もお願いします、と青年はベルトから外したボールをカウンターに置いた。六つのボールか、ベテランさんだなあ。
光っていた機械が点滅をやめ、ピカチュウとヒトカゲが入ったボールを返される。次に青年のポケモンたちが回復を受けるのをぼうっと眺めていた。
ピカチュウが出せ出せとボールを揺らしていたので出してやると、背中によじ登られた。痛い痛いやめてくださいパイセン。
その様子にまた笑っていた青年はカウンターに頬杖をついて私と同様に回復機を眺めていたが、あ、そうだ、と言って私のほうへ首をぐりっと動かす。
「宿は?」
「とりません。このまま森を抜けてニビへ行こうかと」
「やっぱりそうか」
「と言いますと?」
すっと上げられた指が指し示すのは、壁際に貼ってあるカントー地方の大きな地図だ。トキワシティはその地図の左下部に位置している。
トキワシティから北にいくと栄えるのが巨大なトキワの森。そして、西にあるのが。
「ポケモンリーグ、カントー本部。君はまだ駆け出しだろう? …いつかあそこに行くのかもしれないけど」
「いきますよ、僕」
「うん?」
「強くなるためにはあそこは突破しとかなきゃいけないかなって」
てん、てん、てん、沈黙。呆気にとられた表情のあと、青年は目を丸くして大笑した。この人笑ってばっかだな。
「リーグに挑戦することを人生の目標として夢半ばにして破れるものも大勢いるってのに、君はリーグ優勝を通過儀礼として見なすってのか!」
最高だなあ、と肩を揺らす青年は、きっと、”そちら側”へ行く人なのだろう。
「いつかあなたとも戦えるといいですね」
「そうだな、待っているよ、チャレンジャー」
「んっ?」
どういうことだ? 待ってる、チャレンジャー? …えっ、ちょっと、それって。まさか、えっ。
ジョーイさんが、おまちどうさま! と言ってトレーに乗せたボールを、青年は順にベルトに戻していく。
「君みたいな興味深い新人に会えて楽しかった。名前を聞いてもいいかい? 未来のリーグチャンピオン?」
「……マサラタウンのレッドです。あなたの名前もお尋ねしても?」
「四天王のワタルだ。君とリーグで戦えるのを楽しみにしてるよ」
せいぜいリーグ関係者か挑戦者と思ったら、待ち構えるサイドのお方かよ!
呆然とする私をほっぽって、赤い髪を陽にきらめかせ、赤い目を苛烈な色に光らせた青年は、ブーツを鳴らしてセンターを出て行った。
「……………はあああ…」
カウンターにすがりつくようにその場にしゃがみ込んだ。
「大丈夫?」
ジョーイさん…聖母のような容貌をしていらっしゃるけど、あの手慣れ感、青年…ワタルさんの言葉を聞いたときに動じなさ。
「…ジョーイさん分かってたでしょ」
「あら、ばれました?」
やっぱりか! まったくもう! こんな食えない大人ばっかかよ!
烈火のごとき背中が見えなくなったドアを見つめ、心の中で悪態をついた。

−−−−−−−−−−
レポート を かきます か ?
はい
いいえ←
メンテ
Re: ポケモン流転奇譚 ( No.19 )
日時: 2016/02/07 16:32
名前: cielo

11.

「僕が、旅をする意味?」

そんなの決まってる。最初から決まってる。それはずっと変わらない誓い。
君と交わした誓い。私が僕と交わした誓い。

「世界一強いポケモントレーナーになるため、だよ」


(とある少年たちによる誓い)


「……おいまてよレッド」
震える声に、戻ろうとしていた足を止める。
ゆっくりと振り向くと、グリーンが地面にしゃがみ込んで倒れた自分のポケモンを抱きしめ、私をじっと見ていた。
「なあに」
その背後に聳え立つは、強さの最高峰。ポケモンリーグ。
ワタルさんと別れた後、私は西へと歩を進めた。リーグ内部に入れるのは、ジムバッジを8つ集めた歴戦の猛者のみだ。
弱きものはその麓から遠目に見ることしか許されていない。
それでも私がここまで足を運んだのは、単純に見たかったってのと…、彼がいることを、分かっっていたからかもしれない。
ゲートを目前にした辺りに、同じようにリーグを見上げるグリーンはいた。
彼はボールをぽんと投げて受け止めながら、キザに笑って私を見る。

「せっかくじいさんにポケモン貰ったんだぜ? トレーナーとトレーナーの目があったってんなら、やること一つじゃねえの? …勝負しようぜ、ベイビー!」

「…悪いことは言わんからベイビーはやめとけよ、ハニー!」

トレーナーとトレーナーが目を合わせたら、やることは一つ。
お互いにボールを取り出すのは同時で。赤い光とともに、私はヒトカゲを、グリーンはゼニガメを繰り出した。
吊り上がる口角、びりびりとした空気、互いに闘気に満ち溢れた瞳をひっさげて、パートナーに指示を叫ぶ。
これが終わったら、本当に私たちは別々に歩き出す。そう、お互いに何も言わずとも理解していた。

肩で息をする。興奮しすぎて歯の根が合わない。
グリーンとの勝負は、いつだって全身全霊だ。それは強いとか弱いとかの問題じゃない。魂をむき出しにして、真っ向からぶつかりに行くのが私たちの“遊び”だったから。
目の前の彼はうつむいて地面を見てる。それは一見、勝負に負けて打ちひしがれているように見える。けど、それは間違いだ。
その目には途切れることのない力が。手には優しさが。声には強さが。まだ消えちゃいない。消えたところなんて、見たことない。
グリーンは、「主人公のライバル」は、そんな男じゃないでしょう?
少年は歯を食い縛ると、震える声で、でも強い声で叫んだ。
「っっ、俺は!絶対に!!お前を超えてみせる!お前より強くあり続けてみせる!ポケモンマスターにどっちが先になれるか、俺と勝負だ!」
ズクンと、胸に槍を突き立てられたような衝撃を感じた。
ああ、グリーン。ああ!
血が流れ出ているような、でも熱いものが体内を巡るような感覚。
熱いものが顔まで覆ったとき、目の前が滲んで、私の前にしっかと立つ少年の姿がまばゆく歪んだ。
私は勝手な理由で生きている。"レッド"であるように生きるのであって、そのために強くなりたい、ならなきゃいけないという、身勝手な理由。
子どもの姿をした私は、永遠にグリーンみたいに強い思いなんて持てない。
でも…でも!
こんなに強い思いを向けられてるのに、それに適当に応えちゃ、ダメだ。
私も、本気でいかなくては。本気でレッドとして頂点に立たなくては。
君がそう思ってくれるなら、
私も、全力で君を倒すよ。

「…なら僕らがやることは一つだ」
「ああ。全国に散らばるジム8つ。俺と、お前と、どちらが先に制覇するか! …違う、そんなんじゃ足りねえ!」
「挑むはリーグ、でしょ?」
「おお」
分かってんじゃん、とにやり笑う幼馴染に、こちらもにっと悪どく笑ってやる。
小さな体で持て余すくらいの闘志。グリーンのアンバーの目が、爛々と光って濃く染まる。
きっと私の焦げ茶の目も、彼の目に映る私も、同じ色をしている。

「「どっちが強くなれるか、勝負だ!!」」

そう言って私は駆け出した。

(でもグリーン、気付いているか。君がそう思う時点で、君の勝ちなんだよ。
君は、最初からずっと、勝ってるんだ。私の前を走りすぎて行く。
うだうだ悩むしみったれた私を、ずっとあの町に置き去りにしたまま)
ああ、かえりたいなあ。



「え」
「いや、本当に! すみません! ですがこのとおり!」
「いやそう頭を下げられても」
ポケモンセンターに再びお世話になり、フレンドリーショップなるコンビニのようなお店で、
傷薬(ポケモン用)や虫除けスプレー(ポケモン用)やモンスターボール(ポケm略)を購入した後、私は白衣の男性に声をかけられた。
彼の顔には見覚えがあった。オーキド博士のラボで見かけたことのある研究員の方だ。
私を見て顔を輝かせた彼に私は正直嫌な予感しかしなかったんだけど、それがまさかのドンピシャだった。
「博士のところにこれを届けてください!」
「宅急便は」
「今からだと五日後になってしまうと」いや遅いな!?
「お願いします、僕は火急の用事でハナダまで行かなくてはならなくて…! グリーン君はもうトキワと出たと聞くし、レッド君しか頼れる人がいないんです!」
いや、確かにね?帰りたいなあって思いましたよ。それは単なるノスタルジーじゃなくって、私が****であったころの故郷のことであって、
いや第一何時間かけてこっちに来たと思ってるんですか。めっちゃ歩いたんですよ? 正直足痛いですよ!?
えっ、まじで?
しかし彼が一向にその頭を上げる様子はない。異様な雰囲気の店内。 大丈夫かとこちらをチラ見する人。うう、いたたまれない。
「………………うけたまわります」
地を這うような声にも物ともせず、研究員はぱあっと破顔して私の手に小包を落とした。
「あああ助かります! ありがとう! ありがとうレッド君!」
では僕はこれで! と爽やかな笑みを浮かべて、しかしその笑みとは裏腹にすごい勢いで走り去る研究員。は、ハードだなあ…

一人ぽつねんと残された私は、深い深いため息を吐いた。
見かねた店員が傷薬を一つおまけしてくれた。
…ありがとうございます。

−−−−−−−−−−
レポート を かきます か ?
はい
いいえ←
メンテ
カルティエ 結婚指輪 種類 ( No.20 )
日時: 2017/03/24 17:32
名前: カルティエ 結婚指輪 種類  <>

最高品質ブランドコピーしかお出ません!
コピーブランドもお取寄せ可能!
までお問い合わせください。
メンテ
ブランドb級品 ( No.21 )
日時: 2017/05/11 03:00
名前: ブランドb級品  <>

激安の大特価で販売中です新作コピー
ドルチェ&ガッバ―ナベルトスーパーコピー|ブランドコピーベルト|ドルチェ&ガッバ―ナベルト偽物|最高級ドルチェ&ガッバ―ナスーパーコピー販売|激安ドルチェ&ガッバ―ナベルト|偽物ドルチェ&ガッバ―ナベルトコピー|(D&G)ドルチェ&ガッバ―ナベルトー
弊社はD&G コピー商品特に大人気のD&Gベルト種類とサイズを豊富に取り揃えます 。
D&Gバッグ、D&Gベルト、
D&G財布などのとD&Gー新作のD&Gコピー品の 品質よく、
メンテ
グッチ 店舗 ( No.22 )
日時: 2017/05/28 18:45
名前: グッチ 店舗  <>

おしゃれ格安!
売れ筋の商品,5☆大好評!!!
海外セレブ愛用☆正規販売店
安い卸売,即日発送、送料無料!
【2017年春夏】人気新品
★正規品★『今季の新作』
激安 本物 信用と品質に重する 本物保証!
100%品質保証,即日発送【最大80%OFF】
激安価額で販売しています.
新作混合バッチ!
高品質超激安、本物保証!
★正規品★激安販売!!
【最大80%OFF】業界最高峰!
当社は、本革の最高級コレクションを経営しています。
最低価格と送料無料を楽しむことができます
新しいスタイルと高品質
メンテ

Page: [1] [2] [3]

題名 スレッドをトップへソート
名前
E-Mail
パスワード (記事メンテ時に使用)
コメント

   クッキー保存

ポケモン ドリームスター