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Deicide
日時: 2014/06/08 18:45
名前:

【お詫び】
百九十四話を飛ばして百九十五話を掲載していました。
結果、話が一話飛んでしまい、読者の皆様を混乱させてしまったことをお詫び申し上げます。
現在は修正済みです。





読者って何人いんだろ。指摘が来なかったってことは0も有り得るな…。




目次>>1
キャラ紹介1>>2
キャラ紹介2>>121
用語・舞台>>3
キャラ募集>>11←終了
     >>136←終了
第一回座談会>>41
第二回座談会>>55
第三回座談会>>80
第四回座談会>>118
なかがたり>>197

投稿救助隊
ライジン>>13-14 初登場>>36
プリズム>>19 初登場>>60
フラッペスノー>>32 初登場>>82
天照>>52-53 初登場>>101
レヴァリエ>>92 初登場>>126
アメジスト>>97 初登場>>126

投稿敵キャラ
フネ>>138 初登場>>208
レボルブ>>140 初登場>>258
アクアマリン>>149 初登場>>258
ソピアー>>173 初登場>>213


※注意事項
・基本シリアスです。所々にギャグも。
・ブラックなネタが時折見られます。気をつけてください。
・萌えなどありません。





<作者紹介>
HN:唯
年齢:19歳
身長:中
体重:中。
性格:ネガティブ

メンテ
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Re: Deicide ( No.258 )
日時: 2014/01/01 01:29
名前:

刺客











ルーラの部下による人払いで2人の周りに一般人はいない。



ただ、雑木林や建物の陰には部下が潜んでいる。



側近のアズサと、ゴールドランクの救助隊。



ライガを相手取るには戦力差があまりにも大きすぎる。



「ナメてるとしか思えねぇな」



「こちらの目的は交渉ですから」



必要最低限の戦力。



ルーラ単独でないだけ警戒されている方である。



「貴方が最初から交渉目的だったとは思っていなかったので」



ライガが地面に唾を吐く。



その態度から察するに、自らの意志ではないようだ。



「まず、こちらが要求を出します。貴方はその要求と同等の価値の要求をすればいい」



ライガは頷かない。



ルーラはそのまま続ける。



「こちらの要求は、『幻獣についての情報の共有』です」



ライガの眉が微かに動く。



数秒の沈黙の後、







「俺の要求は『指名手配の解除』だ」



ルーラの眉は動かない。



『情報の共有』は場合によってはライガにもメリットがある。



しかし、ライガの要求は連盟側にとってメリットは皆無。



この時点でライガがまともに交渉する気が無いことをほぼ確信する。



「…その要求は、『情報の共有』が私にとって同じくらい有益だった場合に呑みましょう」



だからこそ、この対応。



交渉する気があるのなら、この条件を受け入れることは無い。



先ほど設定したルールを、提示した側が無視する。



ライガの要求が連盟側の要求と同価値のものならば、そんな暴挙を許さないだろう。



受け入れるならば、ライガの目的はルーラの足止め及び時間稼ぎと推測できる。



「…」



ルーラはライガの返答を待つ。



返答次第では今すぐに戦闘に移る準備がある。



上空に打ち上げられた水柱。



それを合図に闘技場をはじめ、四方八方の建造物に待機する数十組の小隊がライガを包囲する。



「どうしました?YESかNOか、答えてください?」



ルーラは笑顔を作り、ライガに問う。



ライガの頬から、水滴が落ちた。





























救助隊『ブレイブ』のリーダー、慧菟 舜沁。



彼女は隊の基地に居た。



他の3人は試合観戦に向かった。



「見る必要は無いよ」



エヴはそう言って基地に残った。



『ライジン』は間違いなく『フェノメノン』よりも強いと彼女は分析していた。



ただしそれは、どちらもベストメンバーである場合だ。



唯一のサポーターであるロキを抜いた『ライジン』は大幅に戦力がダウンする。



連係の差で敗北するというのがエヴの推測。



「私は前に『フェノメノン』の試合を見たことがある。私が得るものは少ないよ」



傲慢に聞こえる物言いだが、それ以外にも理由があった。



『ブレイブ』のサポーターはウォルのみ。



それ以外の3人はアタッカー専門。



(今の私が目指すべきはライさんのような万能型。波導の操作性をあのレベルまで上げなきゃいけない)



ヤシャとフレイムの素性が分からない以上、あらゆる状況に1人で対応出来るようにならないといけない。



(アイツら信用出来ないしなぁ)



エヴは未だ2人を心の底から信用してなかった。


















なお、件の2人は



「2対2とか綺麗ごと言わずに先行かせなきゃよかったな」



「否、むしろ正解だったのかもしれん。足手まといではないが彼女とは相性が悪すぎる」



ウォルを闘技場へ向かわせ、2人の敵と対峙する。



「あっはっは、何を言ってるのさお二人さん。僕なんか逃げるだけで精一杯だよ」



陽気に笑う虎柄のサンダース『レボルブ』と



「俺は1対1にしか興味は無い!正々堂々かかってこい!」



色違いのエルレイド『アクアマリン』。




ヤシャとフレイムは未だ軽傷であるが、だからといって実力が拮抗している訳ではない。




最初に現れたのはアクアマリンだった。



ヤシャとフレイムに連戦を挑むが、2人はそれを拒否し2対1で戦うことになる。





アクアマリンが遥かに格上であることを見抜いたからだ。



しかしアクアマリンは1対1での勝負に拘り、回避に徹する。



攻撃に意識が傾いていた2人を不意打ちしたのがレボルブである。



「てめえが狡いことしなけりゃ1対1に持ち込めたのによぉ!てめえから殺してやろうか!」



「勘弁してよ。仮にも仲間ってことになってるんだし」



ヤシャとフレイムも、この2人が只のゴロツキならわざわざ戦ったりはしない。



この2人の目的が問題なのだ。






「なら協力しろよ。さっさとエヴとやらを殺さなくちゃならねぇんだからな」
                               ――つづく――
ようやくこの2人を出せた…!
もう2年半経ってますけどね!ごめんなさい!
メンテ
Re: Deicide ( No.259 )
日時: 2014/02/26 22:54
名前:

不自然













しばしの沈黙。



ライガの返答は、



「あー…、やっぱこういうの向いてねぇわ」



そう言って、懐から紙束を取り出す。



「これが幻獣の情報だ。テメェらと共有して得るモンなんてねぇよ」



ルーラは一瞬、唖然する。



だがすぐに冷静さを取り戻す。



「…何故、無償で?」



「オイオイ、誰が無償つったよ。その束の下の方見ろよ」



ルーラは書類を数枚めくる。




4枚だけ、幻獣とは無関係の、地図。



だが、その意図をルーラが汲み取る。



「それが、『こっち』の要求だ」





























「オラァ!正々堂々やれっつってんだろォ!」



アクアマリンが怒鳴る。



ただし、彼は手を出さない。



フレイムもヤシャも、彼に対しては戦闘態勢をとっていないからだ。



「待って待って待って!2対2だってば!何で僕にばっか攻撃するのさ!」



レボルブはフレイムとヤシャの攻撃を必死に回避する。



「あっちは1対1って言ってるぞ」



「どっちにしろ1対2はおかしいでしょ!?」



フレイムとヤシャは気付いたのだ。



アクアマリンは1対1でないと戦闘を行わない。



ならば、先にレボルブを2人で片づければいいのだと。



「コラァ!いい加減にしないと攻撃するぞ!」



「今俺たちに攻撃したら卑怯者だぞ」



「マジで?じゃあしない!」



フレイムがそう言うとアクアマリンが大人しくなる。



レボルブはツッコむ暇が無い。



(馬鹿でよかった。このサンダースも2人がかりなら勝てない相手じゃない)



「うおおおぉぉぉ!何で僕がこんな目にぃぃぃぃぃ!!!」



レボルブは泣きながら攻撃を避ける。



(…おかしい。何もかもが不自然過ぎる)



先ほどの会話から、アクアマリンとレボルブは共闘することを強制されていると推測出来る。



即ち、この2人の背後にそれ以上の地位を持つ者がいることになる。



それではなぜ、よりにもよって『2人』を差し向けたのか。



少なくともアクアマリンは共闘には向いていない。送り込むならどちらか単独、もしくは別行動させるべきなのだ。



だが、現にこの2人はどちらも『エヴを殺す』為に行動を共にしている。



それを、ヤシャとフレイムが足止めして―――――









「…やられた」



ヤシャは気付いた。



『自分たちが足止めされていた』ということに。



「フレイム!貴様だけでもエヴの元へ!」



「そういうことか。そっちは任せた!」



フレイムは翼を羽ばたかせ、基地の方角へ飛ぶ。



「【リフレクター】」



だが、突如見えない壁に阻まれた。



「クソッ…【瓦割り】!」



フレイムが【リフレクター】に拳を叩き込む。



しかし、【リフレクター】はビクともしない。



「馬鹿な!【瓦割り】でブチ破れないはずがないだろ!」



アクアマリンがフレイムに手を向ける。



それによって、【リフレクター】がアクアマリンとフレイムを囲む立方体となった。



「茶番は終わりだ。これで1対1だ」



「ついに使っちゃうかーそれをー」



レボルブが茶化すように言う。



「僕らに与えられた【神性】はちっぽけなものだけど、君らが太刀打ち出来るようなレベルじゃないよ」



【神性】という言葉はヤシャもフレイムも初耳である。



ただ、【瓦割り】を無力化した【リフレクター】からそれが未知の脅威であることを理解する。



「足止めしろとは言われたが、殺すなとは言われてない」



「ここで消えてもらうよ」































エヴが拳を握る。



神経を研ぎ澄まし、目の前にいるポケモンを見据える。



「…アンタは誰だ。何が目的でここに来た」



エヴは隙を窺う。



攻撃ではなく、逃亡の為の隙を。



(認めたくないけど、多分コイツは私より遥かに格上…下手したら獣王クラスかもしれない)



目的は不明だが、自身の命を狙っているのなら基地一つは十分に安い。



相手は無表情でエヴを見たまま、口を開く。








「我が名はサターン。試させてもらうぞ」



目の前のガラガラはそう言って構えた。
                       ――つづく――
受かれ(願望)
メンテ
Re: Deicide ( No.260 )
日時: 2014/06/08 18:37
名前:

救世












サターンが骨の棍を振るう。



エヴはそれを紙一重でかわし続ける。



『風林火陰山雷』の『林』



動作の『前兆』を見抜き、敵の数瞬先の行動を予測する技術。



それを使用して防戦一方で全く攻める隙が無い。



まして、逃亡の隙などあるはずない。



そして、この状況を継続させることも危うい。



詰め将棋のように一手ずつ近付いている。



その手に捕まれば、抜け出す間もなく倒されてしまう。



エヴは『風』を重ねて発動する。



自身の動作速度を上昇させる技術。



故に、相手の動作を相対的に鈍化させることが出来る。



『風』によって先ほどよりも回避に余裕が出来た。



(これなら、隙を見て逃げられ―――)



「ギアを上げたか。こちらもそれ相応の力をもって臨むとしよう」



途端、サターンの動きが速まる。



数手の余裕を一瞬で詰められた。



(ヤバいってこれ…!レベルが違い過ぎる!)



『火』を発動し、筋力を上昇させればより回避力も上がるだろう。



ただ、三つ重ねて発動すればその分代償が大きくなる。



(三つ重ねはもって数分。でも他に選択肢は…!)



『山』が通じる相手とは限らない。ジンやブイのような『例外』の可能性がある。



『雷』のテレポートも発動までに時間が掛かる。



『陰』はこの状況では意味を為さない。



この状況を打開するには『火』を選ぼうが『山』を選ぼうが一か八かの賭けでしかない。。



逡巡する間にも一手ずつ迫ってくる。



(駄目だ!使うしか…ない!)



エヴが決意し、『火』を発動しようとした。



だが、サターンがその手を止めた。



「…離れていろ。そして、念のため『陰』を使っておけ」



その目から敵意は消えていた。



否、元より最初から敵意など無かった。



観察するような、無機質な目をしていた。



だが今のサターンは警戒心を剥き出しにしている。



その警戒心はエヴではなく、基地の外に向いている。



それを確認したエヴは数歩退き、『陰』を発動する。



気配や物音を消し、基地の奥へ移動する。





「しかし、俺としたことが。この距離まで気付かないとはな」



サターンが基地の外に出る。



周囲にポケモンの姿は無い。



エヴも波導を探るが感知出来ない。



「オレに気付く奴がいるなんてな」







噴き出す。



波導が、気配が、存在が。



そして現れる『敵』



「オレはフネだ。よろしくな」



「サターンだ。貴様にあの娘は殺させない」



サターンが左手を挙げる。



すると基地を囲むようにドーム状の結界が出現した。



「無いよりはマシでしょ?」



エネコロロがエヴの前に現れた。



「私はサーニャ。彼の部下よ」



エヴは呆然としている。



彼女もまた、波導探知に引っかからなかったのだ。



「今頃、貴方のお仲間の所にも助けが入っているでしょうね」















メンテ
Re: Deicide ( No.261 )
日時: 2014/06/08 18:38
名前:












「いいケツしてんなお前ぇ」







戦場に佇むホモが一人。



カイリキーの姿で息を荒げている。



つい数秒前、ヤシャとレグルスの間に割って入ったのだ。



「…君が誰かということだけ聞いておこうか」



レグルスが仕方なく質問する。



『お前』が誰を指すのか聞く勇気は無かった。



「キーラ=ホモセクシャル。好物は君のケツだ」



知りたくない情報まで入ってきてしまった。



(冗談みたいな名前だけど多分本名なんだろうなぁ)



レグルスは後ずさりながらそう考える。



キーラがじりじりと接近しているからである。



「ハッハッハ、冗談だ。そう身構えるな」



キーラが臨戦態勢を解き、ガハハと笑う。



一見隙だらけなのだがレグルスは呆気にとられて動けない。



「『ホモ=変態』という風潮は納得いかん。同性が好きなだけで変態扱いはおかしいだろ?」



キーラが同意を求める。



レグルスにとっては心底どうでもいい話だが、一先ず自身の尻を狙われないことが分かり安堵した。









「俺は変態だがな」






















アクアマリンの結界の内部では未だに探り合いが続いていた。



互いに一定の距離を取り、睨み合っていた。



アクアマリンは結界の外を見る余裕もある。



だが、フレイムは焦っていた。



いち早く結界を脱出しエヴの救援に向かいたいが、アクアマリンはその隙を狙ってくる。



迂闊に動けないのだ。



(結界さえ何とか出来れば…!)



フレイムがそう思ったとき、耳を甲高い音が通過した。



結界を見ると大きな黒い釘が結界に突き刺さっている。



そこから徐々にヒビが広がっていく。



フレイムはこの釘に見覚えがある。



かつて、一時的に、上司だった男。



「お前の『神性』とやらが何かは知らねぇけどが、相性が悪すぎるなこりゃ」



波導で構成された結界。



波導の配列を『乱し』、崩す。



「【没落鬼鏃(パイルドライバー)】」



結界の外の雑木林から1人のラグラージが現れた。



同時に、結界のヒビが全体に広がり砕け散った。



「チッ…さすがに分が悪い。撤退だレグ―――」



レグルスは既に【高速移動】で逃げていた



「…」



アクアマリンは【テレポート】で消えた。



「面白い奴らだったな」



キーラが満足そうに言う。



一体ナニをしていたのか。



「話は後だ。早くエヴを助けに―――」



基地に戻ろうとするヤシャをフレイムが制する。



「その必要は無い。ウチのボスが来たからな」



フレイムは先ほどと違い、落ち着いている。



その様子でヤシャは察した。



フレイムが何の目的で『天地神』に潜入していたのか。



何故この短期間で釈放されたのか。



「俺は二重スパイって奴でな。元はコイツらの仲間だ」



フレイムがキーラを指差して言った。

















「我ら『救世軍』が貴様らの野望を打ち砕く」



サターンはフネに、その背後の居る黒幕にそう言い放った。
                        ――つづく――
メンテ
Re: Deicide ( No.262 )
日時: 2014/06/08 18:40
名前:

もう知らね












波導濃度とは、文字通り波導の濃度を示す数値である。



大まかな強さを測る指標として広く使われている。



ただし、あくまで『大まか』であり、この数値が全てではない。



それでも、目の前の敵が圧倒的な強さを持つことは容易に理解できた。









波導濃度27000。




「こんなもんかね。アンタを倒すのに十分な力は」



フネが身体を伸ばしながら言う。



一見、隙だらけだが迂闊に踏み込めない。



それほど、力の差は歴然だった。



フネと相対するサターンの波導濃度は9200。



獣王クラスの力を持っているが、それでもフネの約三分の一。



数値通りの結果なら、瞬殺されてもおかしくない。



サターンは動かない、動けない。



エヴはそう分析していた。



この場をどう逃げるかを思考していた。



そんなエヴを見て、サーニャが口を開く。



「大丈夫よ。ボスは絶対に負けない」



それはエヴを励ますための言葉だとエヴは解釈した。



だが、サーニャは続ける。



「勝てなくても、負けることはない。絶対に」



力強い語気は、サーニャが本気だという証拠。



エヴは逃げる算段を立てつつもサターンを信じることにした。









「終わった」



サターンがそう呟いた。



フネが怪訝そうにサターンを見る。



「そう思うならさっさとガキを渡せ」



フネはエヴを渡したとしても自分たちを殺すだろう。



サターンはそう考えた。



もっとも、渡す気など更々無いのだが。



「貴様の敗因は、強すぎる故の慢心だ」



一歩、前に出る。



フネが構える。



「貴様に勝機など万に一つも無い」



その一言に、フネの堪忍袋が破裂する。



「調子に乗んなよ三下ぁ!一瞬でミンチにしてやるよ!」



フネが背負う種から無数の蔓が出現する。



その先端がハンマー状に変化し、サターンに襲い掛かる。







だが、それはサターンに届くことなく消滅した。



「―――は?」



フネは目の前で起きた光景を受け入れられない。



エヴとサーニャも何が起きたかを把握出来ていない。



「おや、見えなかったか。ならばもう一度」



サターンのその言葉の直後、



空が銀色に染まった。



「何だこれは…!?」



銀色の浮遊物が、上空を埋め尽くしていた。



「本日の天気は、【剣雨】だ」



そう言うと、上空の浮遊物が一斉に落下してくる。



「これは―――剣!?」



フネが上空に向け蔓を放つ。



高速で落下する剣と剣の隙間に蔓を伸ばし、刃を避けて弾く。



その動きだけで相当な使い手だと分かる。



一方、サターンや基地の下に降り注いだ剣は直撃寸前で消滅していた。



「我が結界【理創郷】。その圏内は全て俺の思うがままだ」



サターンが『とある宿敵』を倒すために編み出した奥義【理創郷】



己の理想を『錬成』する絶対支配領域。



戦闘において圧倒的優位に立つことが出来るチート技である。



「さて、俺も命は獲りたくない。投降してくれると助かるのだがな」



フネの足元から刃が湧き出て周囲を囲む。



『動くな』という暗示である。



フネは観念したように目を瞑って―――





「もう知らね」













一瞬の出来事だった。




ほんの一瞬で、基地を含めた半径数百mが焼け野原と化したのだ。





「何が起こったというのだ…」



サターンのみが辛うじて意識を保っていた。



だが、そのサターンをもってしても現状を理解できていない。



「【ソーラービーム】だ。これでも出力は抑えた方なんだぜ?」



そう語るフネの波導濃度は、『81000』



「3倍…!?」



「偵察なんてヤメだヤメ。もう俺単独で滅ぼしに行くわ」



フネがそう言って、サターンに背を向ける。



サターンは微かに残った力を振り絞り、骨の棍棒でフネに殴りかかる。



しかし、フネの背負う種から伸びた蔓がサターンの首を絞め上げる。



「せっかく運良く死ななかったのに、馬鹿な奴だな」



フネは顔も向けずそう呟いて、蔓でより強く絞めた。






「ふむ、【身代わり】に話しかけるとは面白い奴だ」



背後から聞き慣れない声。



フネが慌てて振り向くと、そこでは【身代わり】のエネルギーが破裂したところだった。



「おや、耳までおかしくなったのか?」



「誰だ。オレに何をした!?」



フネの問いかけに声の主は答える。





「『ウラノス』という者だ」





ウァサゴがサターンを抱えて現れた。
                          ――つづく――
メンテ
Re: Deicide ( No.263 )
日時: 2014/06/08 18:41
名前:

究極と不稔










フネが【蔓の鞭】を振るうも、ウァサゴの姿をすり抜けた。



「そんな小細工通用しねぇよ!」



「だろうな。だが、この数秒が命取りだ」



ウァサゴがそう言うと、フネの周りに黒い壁が出現する。



「【無死籠】」



壁はフネを四方から包み込み、その場から消えた。



あまりもあっけなく、静寂が訪れた。



「今のは…ウルティマのときの封印か…?」



「見様見真似だが、奴相手でも10分程度なら持つはずだ」



その間に援軍を待ち、10分後に封印を解き現れるフネを倒す準備を行う。



辺り一帯が焼野原と化すほどの【ソーラービーム】。



これだけの惨事、近い小隊が到着するのに10分は十分すぎる時間である。



「さて、ウラノス…今はウァサゴか。あのフシギダネを倒したらどうするつもりだ?」



サターンが【もう一つの奥義】を準備しながらウァサゴに問いかける。



「今までと変わらない。『奴』へ対抗するための裏工作をするだけさ」



ウァサゴも自身の【奥義】を準備しながら答える。



「ウルティマといい今回といい…正攻法で勝てるとは思えないからな」
















「よく分かってるじゃねぇか」



空間に亀裂が走る。



空間は一度破裂し、すぐさま元に戻る。



そしてそこには、フネが立っていた。



「馬鹿な…早すぎる…!」



まだ3分も経っていない。



だが、封印は完全に破壊されていた。



「この程度の小細工なんて屁でもねぇんだよ!」



フネが再び【ソーラービーム】を放つ。



「【守る】!」



ウァサゴが小型のシールドを張り、極大の【ソーラービーム】を空へ弾く。



(これでより多くのポケモンが異常に気付くはず…!)



精一杯の救援要請。



だが、最低でも援軍到着までの間、時間を稼がなくてはいけない。



「サターン、持久戦に自信はあるか?」



「この状況じゃ自信の有無は関係ないが、得意分野と言っていいな」



「ならばいい。『仮想ウルティマ戦』、行くぞ」



サターンの掌から槍が出現する。



サターンが槍を構え、フネへ突撃する。



だが、突進するサターンを遮るように巨大な蔦の壁が地面から這い出る。



「【宿木の種】か…!?こんな規模・成長速度の物など…!」



「桁が違うんだよ。テメェらとはな!」



宿木の壁の隙間から光が閃いた。



サターンはそれを見るとすかさず左へ跳ぶ。



宿木の壁を貫いた【ソーラービーム】がサターンの頭上を通過する。



(動きを先読みされた…!?奴は頭も使えるのか!)



【ソーラービーム】はそのまま遠くの森を焼き払った。



ウァサゴはシールドを展開しながら援護の準備を行っている。



(派手な戦い方…その分、援軍は増えるだろうが…)



それだけ多くの、甚大な被害が出る。



そして、民衆は『敵』の存在を知ることとなる。



(そうなればパニックで迎撃どころではなくなる…厄介な展開になるぞ…)



「【恨み】」



呪術をフネへ放ち、命中させる。



(これであの技は打ち止め。これ以上、騒ぎを起こすような技は撃てまい)



「【ソーラービーム】」



「!?」



ウァサゴの頭を目がけて放たれた【ソーラービーム】を間一髪で弾く。



(シールドも限界…それより、奴にも通じないのか…!?)



一度だけ、遥か格上の相手に使用したことがある。



その相手は【恨み】などの補助技が全く意味を成さなかった。



(ウルティマと同格どころか…)



自身が勝利するビジョンが崩壊する。



ウァサゴの思考を絶望が蝕んでいく。




『勝てない』







そう確信してしまった。

















「サターン」



呟くような声でサターンに語りかける。



サターンは一旦退き、ウァサゴの隣へ戻る。









「『引き分ける』ぞ」
                      ――つづく――
ストックが溜まらない…!
メンテ
Re: Deicide ( No.264 )
日時: 2014/06/08 18:42
名前:

勝利はいらない















『あったかもしれない未来』



無数の可能性、選択肢の一つ。



『彼』はその未来を治める王だった。



天空・大地・海底の三界は既に統一され、稀に内戦が起こるものの平穏な世界だった。



だが、その未来は『平穏を保ったまま』崩壊する。



世界は突如として闇に包まれ、あらゆる生命が徐々に生命力を奪われていった。



彼も例外ではなく、その実力は日を追うごとに衰えていった。



当然、何もせずに破滅を待つ訳が無く、彼はとある研究を行っていた。





『時渡り』である。

















時は現代に戻る。




ウァサゴはサターンに『時間稼ぎ』を命じた。



フネと『引き分ける』の為の秘策の準備には時間が必要だったのだ。



サターンはそれを了承し、両手にダガー状の骨を握り、フネへ斬りかかる。



骨とはいってもサターンの『錬金術』で作り出した超硬度の骨。



その切れ味は一太刀でも致命傷に値する。



サターンがフネの戦闘スタイルを観察した結果、接近戦が最も有効だと判断した。



高すぎる出力故に、至近距離では自身の技に巻き込まれる。



フネは物理攻撃での接近戦を強いられる。



そして、接近戦ならばサターンに分がある。



波導濃度が高いからといって、身体能力が上がる訳ではないのだ。



事実、フネが繰り出す【蔓の鞭】に完全に対応出来ている。



間合いが近い分、一度に攻撃出来る蔓の数が限定されているのだ。



(これならば引き分けどころか勝利も見えてくる)



見出した希望。勝利への道筋。



だが、それはすぐに閉ざされた。



「調子乗ってんじゃねぇぞ雑魚が」



鈍痛。



サターンの腹部にフネの【頭突き】がめり込む。



「何だ…この威力は…!?」



サターンが腹を押さえ後ずさる。



「大方、俺が波導しか操作出来ねぇとでも思ってたんだろ?」



その言葉の意味を、サターンは体感している。



(どうやって戦えばいいんだコイツは…!)



サターンたちは本来、ウルティマに殺されて死ぬはずだった。



大妖怪の『気まぐれ』で助かり、今がある。



それからは以前よりも過酷な鍛錬を積んできた。



それを嘲笑うかのような絶対的な強さ。



どんな策でも圧倒的な強さには通じない。



(だが…ここで死ぬ訳にはいかない!)



戦意は揺るがない。



絶望に飲み込まれることはない。



(希望が無いからといって、それが諦める理由にはならない)



ダガーを握り直し、再びフネへ斬りかかる。



「何度来ても無駄なんだよォ!」



フネもそれを受けて立つ。


















「よくやったサターン」



戦闘が静止する。



サターンの胸を、黒い鎖が貫通していた。



振り向くと、その鎖はウァサゴに繋がっていた。



「っ…ウァサゴ…貴様…!!」





裏切りか。



最初から敵だったのか。







正答はどちらとも違った。



「何ッ…だこれはァァァァァァァァッッッッ!!!!」



フネが苦痛の叫びを上げる



フネの胸にも鎖が刺さっており、そこから赤い刻印が広がっていく。



「サターン、すまないが力ずくで鎖から抜けてくれ」



ウァサゴにも同様の刻印が浮き出ていた。



「まさかこれが秘策だとでも…!?」



サターンが肉を持っていかれながらも鎖から抜け出す。



「この鎖は、所謂『奥の手』だ。一度使えば二度と使うことはできない」



サターンが二人から距離をとる。



地面にも円形の刻印が浮き出ているのだ。



「テメェ…何しやがったァァ!!」



「この鎖は『我』が戻る為の物。破滅へ引き返す禁術」



徐々に二人の姿が霞んでいく。



「我が亡骸を故郷へと送る為の装置だ。付き合ってもらうぞ」



「何言ってやがる!こんな鎖…すぐに引き剥がしてっ…!」



フネが力ずくで鎖を引き千切ろうとする。



だが、フネの蔓が鎖に触れた瞬間に腐り落ちた。



「お前がいくら強かろうが、この鎖には逆らえない」



二人の姿が鎖に刺された部分から消えていく。



「サターン…後は…いや、先を、頼むぞ…」



「お前が何を言っているのか、この術が何なのか俺には分からない。だが、任せろ」



サターンがそう言うと、ウァサゴは満足そうな『笑顔』を見せて消えた。














王が『時渡り』を決行した翌日。



王の物と思わしき骨が見つかった。



その日から世界は変わり始めたのだった。
                     ――つづく――
ウァサゴ・フネ退場です。
今回はウァサゴが居たから相討ちで済みましたが、もしウァサゴが居なかったらもっと死人出てます。
メンテ
Re: Deicide ( No.265 )
日時: 2015/08/18 17:06
名前: リュカ

頑張って下さい。
メンテ
Re: Deicide ( No.266 )
日時: 2015/08/21 20:05
名前: リュカ2

頑張って下さいね。
メンテ
Re: Deicide ( No.267 )
日時: 2016/01/12 13:17
名前: ルー

来ない
メンテ

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